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心に沁みる!昭和を生きる人々を描いた名作5選 #厳選映画ナビ Vol.15

年間200本以上の映画やドラマを鑑賞するe-NAVITAスタッフのKが「こんなかたにおすすめ」「楽しむポイント」などのプチ情報も交えながら、おすすめの映画をご紹介するこの連載。

日本映画(邦画)の魅力といえば、日本人ならではの繊細な気づきや、翻訳しにくい美しい日本語の表現を楽しめる点が挙げられます。特に昔の邦画は「かつての日本」にノスタルジーを感じられるのが醍醐味ですね。今回はそんな邦画の中で、昭和の時代を舞台にしている感動的な映画を厳選しました。現代とは違う昔の町並みや価値観の中で展開される恋愛模様やヒューマンドラマを観ながら、「昔はこうだったんだ」「昔もいまも変わらないなあ」と思いを馳せてみるのも楽しいです。紹介する映画はU-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ、dTV、Netflixなどの各動画配信サイト(VOD)で配信されています。

  1. 心に沁みる!昭和を生きる人々を描いた名作5選
  2. 1.「鉄道員(ぽっぽや)」
        定年間際の孤独な鉄道員に訪れた小さな奇跡
  3. 2.「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」
        邦画ロードムービーの代表作!傷を負った男の一途な愛情
  4. 3.「ALWAYS 三丁目の夕日」
        昭和にタイムスリップ!古き良き時代を描いた大作!
  5. 4.「この世界の片隅に」
        戦時中の呉をヒロインの目線から描いた大傑作アニメ!
  6. 5.「秋刀魚の味」
        娘が嫁ぐ寂しさ。今も昔も変わらない娘を想う父の心
  7. 6.まとめ
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1.「鉄道員(ぽっぽや)」
定年間際の孤独な鉄道員に訪れた小さな奇跡

「鉄道員(ぽっぽや)」は、定年間際の孤独な鉄道員が体験する小さな奇跡を、詩情豊かに描いた映画です。舞台は北海道の片田舎。幌舞(ほろまい)線というローカル線が通っており、主人公は終着駅の駅長を勤めています。雪が降り積もる中、廃線間近となった駅のホームで佇むその姿は言葉にし難い哀愁が漂よっていてとても印象深く、本作のメインビジュアルになっています。そんな寂しげな雪国ですが、そこで暮らす人々の心は暖かいです。それを象徴するように本作には温かいものがよく出てきます。ストーブの上で温めたお汁粉やコーヒー牛乳、熱燗、鍋など、これらをみんなで食べている様子は、観ているだけでその温もりが伝わってきます。都会の喧騒とは対照的な北海道の牧歌的な風景も美しく、鑑賞後は不思議と時間の流れがゆっくりになったように感じて、のどかな気分になります。こういった理想的な田舎の日常風景を描いた上で、鉄道員(ぽっぽや)一筋だった主人公の人生を振り返る重厚で感動的なストーリーが展開されていきます。また、いまは亡き高倉健と志村けんのお二方が出演している点においても一度は観ておきたい映画です。

「鉄道員(ぽっぽや)」

あらすじ

佐藤乙松(高倉健)は廃線間近となった北海道のローカル線・幌舞線の終着駅で駅長を務めている。鉄道員(ぽっぽや)一筋に生きてきた彼も今年で定年を迎え、同時に彼の勤める幌舞駅も路線とともに廃止が近づき、自身の人生を振り返る。幼い一人娘を亡くした日でも、妻にも先立たれた日でも、乙松はそんな日でも休むことなくずっと駅に立ち続けた。そんな彼の前に、亡き娘の面影が重なるひとりの少女が現れた。

2.「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」
邦画ロードムービーの代表作!傷を負った男の一途な愛情

「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」は、刑期を終えた中年の主人公が、行きずりのチャラ男と傷心中の女性の2人組と共に北海道を旅するロードムービーです。一台の車という密閉された空間の中で過ごすことが多いロードムービーは人との距離が近いため、人間関係について丁寧に描かれることが多いのが特徴です。主人公は愛妻を置いて刑務所に入ることになった人で、心に深い傷を負っています。旅を続けていく中で、徐々に心を開いていった彼が愛妻について語りだし、それを聞いている2人組が「愛情とは何であるか」を肌で感じて、心情や態度が徐々に変化していく様子は人生の学びそのもの。ひと昔前の北海道の広大な風景を見てノスタルジーに浸りながら、人生の教訓をメッセージとして感じられるのは、邦画のロードムービー特有の感動です。役者陣にも見どころがあり、主人公を演じる高倉健はセリフの一言一言に重みがある存在感の大きさを発揮して、名優が何たるかを雄弁に物語っています。また、本作が映画初出演となった二十代という若かりし頃の武田鉄矢の演技を見ることができる、貴重な作品となっております。

「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」

あらすじ

失恋して自暴自棄になった鉄也(武田鉄矢)は、退職金で新車を購入して北海道へ傷心の旅に出る。鉄也は一人旅をしていた朱美(桃井かおり)をナンパし、さらに2人は海岸で勇作(高倉健)という男と知り合い、旅を共にする。旅をしていくなかで勇作が網走刑務所から出所したばかりであることを明かし、出所後すぐに愛妻に出した葉書について語り始める。

3.「ALWAYS 三丁目の夕日」
昭和にタイムスリップ!古き良き時代を描いた大作!

「ALWAYS 三丁目の夕日」は、昭和33年(1958年)の東京の下町で暮らす人々の温かな交流を描いた映画です。まだ東京タワーが建設中だった当時の町並みを徹底再現したビジュアルは圧巻の一言。大量に配置された小道具や家電、少しだけ写り込むポスターや新聞紙までも、当時の物を使用するほど強くリアリティを追求しているため、観ているだけで住民の一人になったかのような没入感をもたらします。そこまでリアリティを持たせた下町で展開されるのは感動的なヒューマンドラマ。町内の人々は同級生のように心の距離が近く、酒屋、タバコ屋の店員もみんな顔見知りというのは、現在ではなかなか見られない光景ではないでしょうか。たしかにいまは当時と比べれば、様々な電化製品が一般家庭に普及して便利になりましたが、それと引き換えに、思いやりと人情味に溢れる人との繋がりを失ってしまったのではないかと考えさせられます。希望とやる気に満ちていて、戦後のどん底からどんどん発展していき、それを象徴するように背が伸びていく東京タワーを観ていると、この時代を生きてみたかったという気分になります。古き良き時代の日本を観たいかたは「ALWAYS 三丁目の夕日」がおすすめです。

「ALWAYS 三丁目の夕日」

あらすじ

昭和33年の春。東京の下町、夕日町三丁目にある鈴木オートに、六子(堀北真希)が就職のために青森からやってくる。六(ろく)ちゃんと親しまれるものの、大企業に就職できるかと期待していた六子は、鈴木オートが小さくて古臭い下町工場であることを知って内心がっかりしていた。その向かいには、駄菓子屋「茶川商店」を営みながら小説を執筆している茶川竜之介(吉岡秀隆)が住んでいる。茶川は居酒屋の美人店主・石崎ヒロミ(小雪)に惚れており、足繁く通っていた。そんなある日、ヒロミから見ず知らずの子供・古行淳之介(須賀健太)を酔った勢いで預かってしまい、帰すに帰すことができず、いきなり2人の共同生活が始まった。

4.「この世界の片隅に」
戦時中の呉をヒロインの目線から描いた大傑作アニメ!

「この世界の片隅に」は、第2次世界大戦下の広島・呉での生活を、ヒロインの目線で描いたアニメーション映画で、こうの史代の漫画を原作としています。日本の太平洋戦争のはじめから終戦、敗北までの時代がヒロインの半生とリンクして描かれています。戦争映画は多くの人々が亡くなり胸が痛くなる作品が多いですが、本作では戦中という過酷な状況でありながらも、明るく生き生きと過ごしていく主人公の様子を描いた映画です。少ない配給でどうしたら美味しいご飯が作れるのかを考えたり、連日でやってくる空襲警報に飽き飽きとしてきたり、防空壕の中で世間話に興じたりと、日常のなかに突如入ってきた戦時下の特殊性と、普遍的な営みが同居している生活を描けるのは、ヒロインの目線ならではの特徴かと思います。また、ヒロインの声を担当した「のん(能年玲奈)」が他の人では代えがたいほどにハマり役で、あっという間に物語に没入できるほどの演技力と声質が際立っています。公開後は口コミやSNSで評判が広まって異例のロングランヒットを記録し、国内外で高い評価を得ました。2019年には新たなシーンを追加した長尺版「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が公開され、当然のように大ヒット。筆者的には長尺版になったことでより面白くなったと感じました。一度は観ておきたいどころか、観ないのは人生の損と言い切れるほどの傑作ですので、ぜひご覧ください。

「この世界の片隅に」

あらすじ

昭和19年、すず(のん)は故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた。戦争によって配給などが減っていく中、工夫を凝らして家族のために毎日の食事を作っている。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずは身近なものも次々と失っていく。それでもなお、すずは前を向いて日々の暮らしを営み続ける。

5.「秋刀魚の味」
娘が嫁ぐ寂しさ。今も昔も変わらない娘を想う父の心

「秋刀魚の味」は、寂しいけど娘を嫁がせたい父親が主人公の映画です。戦後間もない時代を舞台にしている本作は、戦後のモダニズムの面影がある街並みや、二十代半ばで結婚していることが普通だった価値観など、ひと昔前の日本を感じることができます。本作の特徴は、一般的な人々の日常生活を賛歌している点です。稀有な才能を持った人や、イレギュラーな境遇で育ってきた人などは一切登場せず、一般的な人たちが等身大のまま描かれます。淡々と流れる時間の中に身を置く人々がユーモラスに表現されているため、鑑賞中は「いまの生活もけっこういいものだ」と感じさせてくれます。そんな日々の中で描かれる結婚の話も、控えめでもなく、誇張もしすぎず、あくまでも「日常的な出来事」という枠のなかに収められており、一大イベントである結婚もいい意味で 「実際はこんなものだ」と、私たちの実感とシンクロするのが楽しいです。娘の結婚を考える主人公は、内心は寂しいと感じていますが、でもそのことは絶対に口に出さないようぐっと我慢し、一人になったときにだけくたびれた表情を浮かべます。多くの父親がこういう気分で娘を送り出していったのかと想像すると、嬉しくも寂しい不思議な感動があります。

「秋刀魚の味」

あらすじ

妻に先立たれたサラリーマンの平山周平(笠智衆)は、長女の路子(岩下志麻)に家事の一切を任せて暮らしている。友人から持ち掛けられた路子の縁談話も、まだ早いと聞き流してしまう。そんなある日、中学の同窓会に出席した平山は、酔い潰れた元恩師・佐久間を自宅に送り届けた際、父の世話に追われて婚期を逃した佐久間(東野英治郎)の娘と対面する。それ以来、平山は路子の結婚を真剣に考えるようになる。

まとめ

以上、「心に沁みる!昭和を生きる人々を描いた名作5選」でした。筆者は以前まで鑑賞する映画は基本的に洋画ばかりだったのですが、邦画に目を向けてみると面白い映画がたくさんあり「どうして観てこなかったのだろう」と思わずにいられませんでした。筆者と同じように洋画をメインとしていて邦画に触れてこなかったかたは、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

※掲載動画はYouTube Moviesおよび配給会社から引用させていただきました。

  1. 心に沁みる!昭和を生きる人々を描いた名作5選
  2. 1.「鉄道員(ぽっぽや)」
        定年間際の孤独な鉄道員に訪れた小さな奇跡
  3. 2.「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」
        邦画ロードムービーの代表作!傷を負った男の一途な愛情
  4. 3.「ALWAYS 三丁目の夕日」
        昭和にタイムスリップ!古き良き時代を描いた大作!
  5. 4.「この世界の片隅に」
        戦時中の呉をヒロインの目線から描いた大傑作アニメ!
  6. 5.「秋刀魚の味」
        娘が嫁ぐ寂しさ。今も昔も変わらない娘を想う父の心
  7. 6.まとめ
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