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1度は観てほしい!人種差別との戦いを描いた感動作5選 #厳選映画ナビ Vol.13

年間200本以上の映画やドラマを鑑賞するe-NAVITAスタッフのKが「こんなかたにおすすめ」「楽しむポイント」などのプチ情報も交えながら、おすすめの映画をご紹介するこの連載。

SDGsやLGBTQという言葉が普及してきた今日において、人権について考えることも一般的になってきたのではないでしょうか。そこで今回は人種差別をテーマにした映画をご紹介いたします。人種や性別による差別問題は現代社会においてもなくなっておらず、映画界でもそれを訴えるように人種差別をテーマにした映画が製作され続けて、名作も生まれました。シリアスなものからコミカルなものまでセレクトしましたので、そのときの気分にあわせてチェックしてみてください。全て実話を元にした映画であり、時系列順に並べましたので、時代が進むごとに社会の意識にどのような変化が生じたのかを追えるようになっています。また、紹介する映画はU-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ、dTV、Netflixなどの各動画配信サイト(VOD)で配信されています。

  1. 1度は観てほしい!人種差別との戦いを描いた感動作5選
  2. 1.「それでも夜は明ける」
        突然、奴隷として拉致される恐怖。奴隷の日常を描いた実話
  3. 2.「リンカーン」
        今をとるか未来をとるか。終戦か奴隷制度廃止という究極二択!
  4. 3.「シンドラーのリスト」
        ホロコーストから1,100人以上を救ったのはナチ党員の実業家だった
  5. 4.「ドリーム」
        黒人と女性という二重の差別に立ち向かった3人の女性たち!
  6. 5.「グリーンブック」
        黒人にも白人にもなれない天才黒人ピアニストが抱える苦悩とは?
  7. 6.まとめ
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1.「それでも夜は明ける」
突然、奴隷として拉致される恐怖。奴隷の日常を描いた実話

「それでも夜は明ける」は、奴隷制度が廃止される前のアメリカを舞台に、奴隷ではない自由黒人である主人公が、拉致されて奴隷として過ごすことになった12年間を描いた映画です。ソロモン・ノーサップという人が書いた奴隷体験記「Twelve Years a Slave(12年間、奴隷として)」を原作にしています。時代背景として、当時のアメリカ南部では奴隷は禁止されていなかったのですが、アフリカとの奴隷貿易が禁止されたため、奴隷の売人たちはアメリカ内部から「調達」していたのです。本作の特徴は、主人公が奴隷生活をしたことがないため、彼の目線がわたしたち観客と近い立場にあることです。彼と共に働く黒人たちの中には、ずっと奴隷として生きてきた、あるいは生まれたときから奴隷だった人もいるので、同じ境遇であっても主人公の価値観とは大きなギャップがあります。作中に「奴隷根性が染み付いた人には、もはや反撃の意思すらない」という意味のセリフがあります。これは、主人公は当然助かりたい気持ちでいっぱいなのですが、協力者が存在しないことが明らかになっているのです。人権がないとはどういう状態なのか、それを追体験させてくれる映画が「それでも夜は明ける」です。

「それでも夜は明ける」

あらすじ

1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク。自由証明書で奴隷ではないことが法的に認められている自由黒人のソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、家族と幸せな生活を送っていたが、ある日に突然拉致されて奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。彼を待ち受けていたのは、狂信的な選民思想を持つ奴隷主や「人間の尊厳」を失った奴隷たちだった。彼は妻と子供たちに再び会うために、尊厳を失わずに生き抜くことができるか。

2.「リンカーン」
今をとるか未来をとるか。終戦か奴隷制度廃止という究極二択!

「リンカーン」は、アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンが奴隷制度廃止を盛り込んだ「アメリカ合衆国憲法修正第13条」を可決させるための政治闘争を描いた歴史映画です。当時は奴隷制度廃止をきっかけに開戦した南北戦争の真っ只中。北軍のリンカーンは奴隷制度廃止のために奔走しています。しかし、戦況は北軍が優勢ではあるものの、彼は非常に厳しい選択を迫られていました。それは、奴隷制度廃止を諦めれば終戦できる可能性が際立ってきたからです。劣勢の南軍は敗北のムードが漂い始め、北軍および北部の民衆でもこれ以上犠牲を増やさないために、早急な和平交渉を求める声が強くなってきました。そもそも北部の白人には「終戦条件としての奴隷制度廃止」があるからそれを支持している層もおり、もし奴隷制度廃止が成されずとも終戦するのであれば、それで構わないと考える人もいます。また、そう考えざるを得ないほど凄惨な戦争でもありました。しかし、リンカーンとしては未来の人々のために奴隷制度廃止は絶対に可決させなくてはならず、このタイミングを逃せばチャンスはもうないかもしれません。つまり、彼の前に浮上した実情とは「奴隷制度廃止を可決させるためには南北戦争を終わらせてはいけない」というものだったのです。未来の人々を救うためにいま生きている人々を犠牲にするのか、いま生きている人を救うために未来の人々を犠牲にするのか。敵味方の声を聞き入れてあいだをとりつつ、自分の理念を達成させるための政治手腕とはいかなるものだったのか。興味の湧いたかたはぜひご覧ください。

「リンカーン」

あらすじ

エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。奴隷解放の賛否をめぐり起こった南北戦争は4年目に突入し、多くの若者の命が奪われていた。「すべての人間は自由であるべき」と信じるリンカーンは、憲法の修正が自由の実現に必要だと考え、合衆国憲法第13条を議会で可決させるべく、なりふり構わぬ多数派工作を進める。

3.「シンドラーのリスト」
ホロコーストから1,100人以上を救ったのはナチ党員の実業家だった

「シンドラーのリスト」は、ナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)から多くの命を救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーを描いた映画です。1939年、ナチスドイツ占領下のポーランドに、シンドラーという男が戦争を利用してひと儲けしようとやってきます。彼は人に取り入るのが上手く、あっという間に幹部クラスの人たちと仲良くなってコネクションを築き上げました。その後、自分の工場を持ち、賃金が安いという理由でユダヤ人を労働者として雇用します。このようにシンドラーという人はただ金儲けだけを目的としている人です。加えて、ナチ党員でもあるため反ユダヤ主義に与している立場です。そんな彼がいったいどうしてホロコーストからユダヤ人を救うに至ったのか?シンドラーの心情の変化、あるいは変化せざるを得ない惨状とは何だったのか?ホロコーストの実情を描き、どのような理不尽な目に遭っていたのかが繊細に表現されています。リアリティの追及も本作の特徴で、全編をモノクロ撮影することにより戦場を撮影した古い映像のような印象を与え、撮影地には大虐殺が行われたアウシュヴィッツ強制収容所も登場しています。ほとんどドキュメンタリーと言っても過言ではないほどの徹底したリアリティが、「人権とは何か?」という問いかけを強いものにし、「人生で一度は観ておきたい映画」を冠する名作となりました。余談ですが、監督を務めたスティーブン・スピルバーグ(彼もユダヤ人)は、公開当時までエンタメ色が強い作風で知られていましたが、本作で残酷なシーンを直視させるような演出を行うことで作風に変化が表れ、これが後に製作する「プライベート・ライアン」に繋がっていきました。

「シンドラーのリスト」

あらすじ

ナチスドイツに占領された1939年のポーランドに、ドイツ人実業家シンドラー(リーアム・ニーソン)がやってくる。彼は戦争でひと儲けしようと考え、潰れた工場を買い取って軍用ホーロー容器工場を開設する。安価な労働力としてユダヤ人たちを雇い入れ、事業を軌道に乗せていく。しかし、ナチスによるユダヤ人の迫害は日ごとにエスカレートし、彼が雇用するユダヤ人たちも収容所に連れていかれてしまう。理不尽な虐殺が行われる収容所に対し、シンドラーがとった行動とは…。

4.「ドリーム」
黒人と女性という二重の差別に立ち向かった3人の女性たち!

「ドリーム」は、アメリカ人初の地球周回飛行を陰で支えた3人の黒人女性の活躍を描いた映画です。この周回飛行の成功によってアメリカに強い希望がもたらされ、ロシアとの宇宙開発競争において大きな節目となりました。 ロシアの人工衛星の打ち上げによって、本格的に宇宙開発競争に火がついた1960年代の初頭。バージニア州にあるNASA(アメリカ航空宇宙局)の研究所では、ずば抜けた数学的才能をもつ3人の黒人女性が働いていました。 しかし当時のバージニア州は人種分離政策がまかり通っており、バスの座席やトイレ、水飲み場などが白人種用と有色人種用で区切られている有様。有能でありながらも人種差別によって業績が認められず、そこに女性差別も加わって、彼女たちは自身の夢の達成が阻まれています。それでも3人は諦めずに夢を追い続け、ついには歴史的な偉業を成し遂げることとなり、差別の理不尽さに一石を投じたのです。差別という重いテーマでありながら、彼女たちのチャーミングさのおかげで、コミカルな明るい雰囲気になっています。笑いながら爽快感も味わえる映画を鑑賞されたいかたは「ドリーム」がおすすめです。

「ドリーム」

あらすじ

1961年、アメリカはロシアとの熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない計算を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー(オクタヴィア・スペンサー)、エンジニアを目指すメアリー(ジャネール・モネイ)も、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていく。

5.「グリーンブック」
黒人にも白人にもなれない天才黒人ピアニストが抱える苦悩とは?

「グリーンブック」は黒人ピアニストと彼に雇われた白人の用心棒が、人種差別に果敢に立ち向かうためアメリカ南部を駆けていく作品です。アメリカ南部は人種差別の意識が色濃く残っている地域で、黒人の利用を拒否する南部の宿泊施設やレストランが公然とありました。それらの施設を利用した際のトラブルを避けるため、彼らが利用可能な施設をあらかじめ記したのが「グリーンブック」というガイド本です。黒人ピアニストの彼はホワイトハウスに招待されるほどの類まれな才能の持ち主で、大学では博士号も取得しているエリートです。しかし、それがかえって黒人の中で孤立させる要因にもなっています。彼は他の黒人からは上流階級の白人社会に混じる「黒人らしくない人」と見なされており、被差別者というかたちでの仲間意識を持たれません。一方、白人の世界でも人種の壁は超えることはできず、丁重な扱いをされているようでありながら明確な差別を受けています。このように黒人にも白人にもなれない「はぐれ黒人」という孤立無援の立場に置かれていることが、もう1人の主人公である用心棒の目線で明らかになっていき、徐々に彼らの友情が育まれて行く、というのが本作のストーリーです。これだけ読むとシリアスで重いストーリーのようである印象を受けるかもしれませんが、本作は非常にコミカルな映画です。人種差別を扱いながらも、軽快なコメディと音楽を盛り込むことでサラリと観られるようになっており、そのおかげで喜怒哀楽すべての感情が刺激されて、鑑賞後は「映画」を観た!という満足感で溢れます。 人種差別について、コミカルなタッチの映画を鑑賞されたいかたには「グリーンブック」がおすすめです。

「グリーンブック」

あらすじ

1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、クラブが改装工事で閉鎖され無職になったため、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手、および用心棒として雇われる。シャーリーは黒人差別が色濃い南部への演奏ツアーを計画しており、二人は黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに旅立つ。

まとめ

以上、「1度は観てほしい!人種差別との戦いを描いた感動作5選」でした。黒人差別がテーマの「それでも夜は明ける」と「グリーンブック」は舞台がアメリカ南部で、年代は1841年と1962年と100年以上の開きがありますが、両方ご覧になれば差別意識が無くなるまでに至ってないという実情が見えます。人種差別問題の解決はそれだけ困難で時間がかかることを痛感しますが、それでも少しずつではあるものの平等が実現されていってることがわかります。同時に、放っておけば解決する問題でもないこともわかります。人権問題は幅が広く、本記事で取り上げられなかったジャンルもありますので、興味を持たれたらぜひ他の作品にも触れてみてください。

※掲載動画は配給会社から引用させていただきました。

  1. 1度は観てほしい!人種差別との戦いを描いた感動作5選
  2. 1.「それでも夜は明ける」
        突然、奴隷として拉致される恐怖。奴隷の日常を描いた実話
  3. 2.「リンカーン」
        今をとるか未来をとるか。終戦か奴隷制度廃止という究極二択!
  4. 3.「シンドラーのリスト」
        ホロコーストから1,100人以上を救ったのはナチ党員の実業家だった
  5. 4.「ドリーム」
        黒人と女性という二重の差別に立ち向かった3人の女性たち!
  6. 5.「グリーンブック」
        黒人にも白人にもなれない天才黒人ピアニストが抱える苦悩とは?
  7. 6.まとめ
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