- 百貨店事業の進化を軸とした、成長戦略を始動 -

　2014年度は国内ではインバウンド需要や消費増税前の駆け込み需要を取り込んだほか、海外では主要子会社が売上を伸ばしたことなどにより、増収増益となりました。しかし昨年4月の消費増税以降、景気回復の足取りは重く、当社においても百貨店事業の営業力強化がこれまで以上に喫緊の課題となっております。

　一方で社会やマーケットの変化を捉え課題と向き合うことは、自らを変革し新たな成長を実現するチャンスともいえます。そこで今年度を百貨店事業の進化を軸とした成長戦略を始動していく年と位置づけ、様々な経営・営業施策を通じて、お客様に新しい価値を提供してまいります。

　まず国内百貨店の営業力強化策として、「街づくりのさらなる推進」「オムニチャネル戦略の具現化」「インバウンド対策の加速」に取り組みます。

　「街づくりのさらなる推進」では、都市計画や民間デベロッパーによる再開発で新たに日々5万人の就業人口の流入が周辺に見込まれる新宿店で、レストランや食料品の改装を行うなど、街づくり発想をもって魅力をさらに高めてまいります。立川店は周辺商業施設との相乗効果をもって特徴化を実現するMDを構築してまいります。

　次に「オムニチャネル戦略の具現化」では、お客様のニーズを掘り下げ、営業力強化に直結する施策の実現をめざします。まずはオンラインストアをより買いやすく、使いやすいサイトにするとともに、ファッションサイトも拡充していく予定です。

　「インバウンド対策の加速」では、2014年の訪日外国人が1,300万人を突破しましたが、当社の免税対象売上もまた急速に増加しております。当社ではお買上げ免税品の空港お届けサービスや、中国からの健診者への対応などをしている亀田病院とのアライアンスをスタートしておりますが、今後もお客様の利便性や快適性をさらに向上させていくとともに、日本での思い出になる共感型・体験型のサービスを追求してまいります。

　海外事業では、来夏に開業予定のサイゴンセンタープロジェクトをベトナムで進めており、シンガポールと同様に「百貨店事業」「専門店運営事業」「不動産事業」の3事業を組み合わせることで、早期の黒字化を図ります。さらに2017年には36,000m2規模の百貨店として、タイ・バンコクにサイアム高島屋を出店します。

　また今年3月には新規事業としてトランスコスモス株式会社と合弁会社を設立しました。4月には世界に通用する日本の新たな食ブランドの事業として貝印株式会社と合弁会社の設立に合意。これに続いて、ライフスタイル提案型ビューティーブランドの事業としてセーレン株式会社と合弁会社の設立に合意するなど、事業領域の拡大を進めております。今後も大胆かつスピード感をもって成長戦略を実行してまいります。

　最後に、企業が持続的成長を実現するうえで、働き方の多様性を支援する取り組みの重要性が、ますます高まってきております。これまでと同様、男女ともに優秀で意欲のある人材のモチベーションを高め、活躍できる環境や制度を継続的に整えてまいります。

　引き続き、みなさまのご支援・ご愛顧のほど、よろしくお願い申しあげます。

2015年5月
取締役社長 木本 茂

　高島屋グループは、1991年に「いつも、人から。」を経営理念に掲げましたが、2008年3月に新しく制定し直しました。時代の変遷とともに、環境問題をはじめとする企業に対する社会の要請や期待が大きく変化しており、理念の見直しが必要であると判断したからです。
　経営理念「いつも、人から。」に込められた「人の心を大切にする」という精神は変わりませんが、企業活動を通じて、社会に貢献していくことこそが、今後の企業のあるべき姿であるという考えを強調しました。また、今後の高島屋グループの目指すべき方向性を5つの指針に示しました。さらに、新たに企業メッセージを策定し、この経営理念の強い思いを、社外にも発信してまいります。


「いつも、人から。」
タカシマヤグループは、
「人を信じ、人を愛し、人につくす」こころを大切にし、社会に貢献します。

＜指針＞


◇こころに残るおもてなし

◇未来を切り拓く新たな生活・文化の創造

◇いきいきとした地域社会づくりへの貢献

◇地球環境を守るためのたゆまぬ努力

◇社会から信頼される行動

<企業メッセージ>

「変わらないのに、あたらしい。」

伝統があるから、新しくなれる。
時代に息づく心地よい価値をこれからも。

守り継ぎたいことはそのままに。時代が求める変化には柔軟に。
心のこもったサービスなど「変えてはならないもの」と、
お客様に喜んでいただくために「変えるべきもの」を明確にし、
全員が心をひとつにして、進化してゆく高島屋です。


- 創業の精神 -

【店是】
●確実なる品を廉価（れんか）にて販売し、自他の利益を図るべし
●正札掛値（しょうふだかけね）なし
●商品の良否は、明らかにこれを顧客に告げ、一点の虚偽あるべからず
●顧客の待遇を平等にし、いやしくも貧富貴賎（ひんぷきせん）に依りて差等を附すべからず

※【店是】　創業以来この精神は、当社社員の基本的心構えとして受け継がれています。